米国米長期金利・信用リスク
Mohamed A. El-Erian@elerianm
DAILY MARKET DIGEST
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TSMCは現在、12月時点の予測と比べて、約2倍の半導体製造装置を購入する見通しです。AI需要が、設備能力の増強を前倒しし続けているためです。 対応の規模はかなり驚異的です。TSMCは通常なら5工場ほどであるのに対し、現在は約20工場を同時に建設し、装置を導入しています。それでも同社は、需要を完全には満たせないと述べています。NVIDIA、AMD、Broadcomは、TSMCが供給能力を増やす速度を上回るペースで、なお発注を増やしています。
この投稿は、AI半導体の需要を最終製品の売上ではなく、受託製造の設備投資から見る視点を示しています。TSMCの設備発注増は、製造装置、先端パッケージ、建設関連に複数年の需要が波及する可能性を示す一方、投資額の大きさがそのまま株主利益になるわけではありません。新工場の立ち上げが需要の伸びに先行すれば、稼働率の低下と減価償却費の増加が利益率を圧迫します。反対に、供給不足が続けば顧客は注文を重複させている可能性もあり、解消時に調整が大きくなります。装置購入額だけでなく、先端ノードと先端パッケージの稼働率、平均販売価格、粗利益率、主要顧客の在庫と実需を組み合わせて確認する必要があります。
割高なバリュエーションで取引されている優良企業を、決して空売りしてはいけません。 Teslaは、業界最高水準の技術を持ち、重要な長期成長トレンドを活用して真の先行者優位を築き、大きな製造コスト優位性を持つ優良企業です。また、経営を担うのは、優秀なエンジニアを引き付ける先見性のあるリーダーです。 しかしTeslaの株価は、予想利益の220倍という高いバリュエーションで取引されています。長期的な利益成長率の見通しは35%です。このことは、投資家が同社株を保有しない理由にはなりますが、空売りする理由にはなりません。 私が空売りできる対象には、製品や競争上の立場が弱い、重要な長期成長トレンドを活用できない、魅力的なブランドがない、製造コスト構造が高い、あるいは経営陣に実行力がない企業が数多くあります。
割高という判断は期待収益率を下げる材料ですが、株価がいつ下がるかを示す触媒ではありません。空売りは上昇時の損失に上限がなく、借株料や買い戻し期限、ショートスクイーズもあるため、適正価値との差だけでなく、業績下方修正や資金調達難といった時間軸のある根拠が必要です。一方、投稿の企業評価自体も前提であり、優れた製品や経営者がどの価格でも投資を正当化するわけではありません。220倍という倍率を評価するなら、35%成長が何年続く想定か、その後の利益率、必要な再投資、希薄化を将来キャッシュフローへ落とし込む必要があります。「買わない」と「売る」の間に、監視する、保有比率を落とす、損失上限を定めるという選択肢がある点が重要です。
ドイツの10年国債利回りが2011年以来の高水準へ上昇する一方、フランスの10年国債の借入コストは2008年以来の高水準となりました。その結果、両国の利回り差は約2年ぶりの大きさへ拡大しています。 市場参加者は、高水準の財政赤字に対して、ますます寛容ではなくなっています。
共通通貨を使うフランスとドイツの国債利回り差は、ECBの政策金利という共通要因をある程度取り除き、フランス固有の財政・政治リスクへ市場が求める上乗せ金利を見やすくします。両国金利が同時に上がるなかで差まで広がるなら、単なる世界的金利上昇では説明しきれない警戒が含まれます。ただし、利回り差は財政赤字だけでなく、国債の発行量、流動性、担保需要、ECBの買い入れ期待でも動きます。危機の有無を一日のチャートで判断せず、OAT・Bundスプレッド、国債入札の需要、CDS、予算案と政治日程を継続して確認するのが有効です。欧州株では銀行の国債保有と各国売上比率を通じて波及し得ます。
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日本の金利上昇が世界へ波及する経路は、単なる心理ではなく資金配分です。国内債券の利回りが上がると、日本の銀行や保険会社にとって、為替ヘッジ費用を負担して海外債券を持つ相対的な魅力が下がり、海外債券の売却や新規購入の抑制につながり得ます。ただし、海外金利上昇を日本だけのせいにすることはできず、原油、各国の財政赤字、中央銀行の政策見通しも同時に作用します。また米当局者の発言が、そのまま日本の政策変更を決めるわけではありません。波及の強さを判断するには、対外証券投資、生命保険会社の運用方針、為替ヘッジ後の日米欧債券利回り、日銀の国債買い入れと政府の発行計画を追う必要があります。
ネットネット株は、現金や売掛金など換金性の高い流動資産から負債を差し引いた価値に比べ、株価が低い企業を探す考え方です。金利上昇局面では、余剰現金から得る受取利息が増えるため、事業利益が横ばいでも経常利益を押し上げる可能性があります。これは、現金を抱えることの機会損失が小さくなるという、低金利時代との重要な変化です。ただし、貸借対照表の現金が本当に余剰か、運転資金や設備投資に必要か、金利上昇で借入費用も増えないかを確認する必要があります。受取利息だけでなく、ネットキャッシュ、預金と有価証券の満期、借入の固定・変動比率、資本配分方針を見ると再評価の持続性を判断しやすくなります。
安全性の高い預金商品で約4%を得られると、株式にはそれを上回る期待収益が求められ、PERの許容水準は下がりやすくなります。特に利益が遠い将来に偏る成長株は、待つ対価をCDで得られるため相対的な魅力が低下します。ただしCDの3.9%と株式リターンは同じ性質ではありません。CDは期間中の資金拘束や中途解約手数料があり、FDIC保険にも金融機関・名義区分ごとの上限があります。株式との比較では、税引後利回り、満期、インフレ後の実質利回り、増配と値上がり余地まで揃える必要があります。CD金利が低下する局面では満期後の再投資利回りも下がるため、現在の利回りだけを長期前提にしないことも重要です。
日経平均が2.85%、TOPIXが2.40%下げただけでなく、東証プライムの92%が下落し、33業種すべてが下げた点は、少数の値がさ株ではなく市場全体へ売りが広がったことを示します。一方、医薬品への逃避買いや銀行株の相対的な底堅さは、無差別な現金化だけではなく、原油高と金利上昇を意識した業種間の資金移動も起きていたことを示唆します。ただし「全面安」は翌日の反発を保証せず、売買代金8兆円超が投げ売りの完了なのか、新たな分配売りの始まりなのかを見分ける必要があります。騰落レシオだけでなく、安値更新銘柄数、出来高、業種相対強度、信用スプレッドを追うと、短期的な恐怖と景気・金融条件の悪化を区別しやすくなります。
日本語訳
おはようございます。 金利動向への注視が続いています。米10年国債利回りは4.80%を超え、30年国債利回りは5.30%へ近づいています。 利回りがより高い水準で、より長く推移するほど、市場は金利リスクが信用リスクへ変わることを懸念しやすくなります。 (下のBloombergのチャートを参照) #経済 #市場 #債券 #利回り
解説
金利リスクが信用リスクへ変わるとは、債券価格が下がるだけでなく、借り換え金利の上昇によって企業や家計が利払いを続けにくくなる段階を指します。ただし、長期金利が5%前後になった瞬間に一斉に破綻が増えるわけではありません。影響の速さは、固定金利か変動金利か、債務の満期がいつ集中するか、手元資金と営業利益で利払いを何倍賄えるかによって異なります。株式では負債比率の高い企業や不動産、未収益の成長企業ほど注意が必要です。信用スプレッド、延滞率、利払い負担率、今後2〜3年の借り換え額を追うと、単なる評価損から実体的な信用悪化へ移ったかを判別しやすくなります。