米国求人と採用・残高と人の動きを一緒に読む
Nick Timiraos@NickTimiraos
DAILY MARKET DIGEST
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私によるAnthropicのIPO時の企業価値評価には反論が寄せられました。それは、まさにこの評価が意図していたことです。その反論を使って、私の描いた事業の筋書きのうち、最も大きく、最も脆いと考える前提を洗い出し、何がうまくいかなくなり得るかを検討しました。 本人が添えた記事 https://bit.ly/4AaMy0P
添付表は、売上の伸び、営業利益率、必要な再投資を順につなげて企業価値を求めるモデルです。1年目は営業利益を出す想定でも、それ以上の再投資を必要として、企業全体に残るフリーキャッシュフローはマイナスです。急成長と利益の黒字化だけでは、資金を生む会社になったと判断できないことが分かります。 さらに表では、10年分のキャッシュフローの現在価値より、その先の継続価値の現在価値の方が大きくなっています。評価を読む際は、目標株価だけを見るより、遠い将来にどれだけ依存し、その時期までに利益率と投資効率がどう改善する想定なのかを確認できます。今回なら目標営業利益率27.5%と、成長に必要な資本の前提が点検対象です。 将来の行は本人の仮定で、実績ではありません。表は金額単位を明記していないため、ここでは通貨額へ換算せず、同じ表内の関係を読んでいます。
米10年国債利回りとS&P 500のローリング相関が、いまプラス圏へ移りました。
上段にはS&P 500と米10年国債利回り、下段には両者の30日相関が並んでいます。下段は直近で0.0766へ上がりましたが、長い期間を見るとプラスとマイナスを何度も行き来しています。「金利が上がると株は下がる」という関係を、どの時期にも当てはめることはできません。 債券価格は、他の条件が同じなら利回りが上がると下がります。このため、株価と利回りの関係が変わると、株式と債券を併せ持つときの値動きの組合せも変わり得ます。分散効果を点検する際は、長期の平均相関と、直近の一定期間で計算した相関を区別できます。 今回はゼロを少し上回った程度で、強い連動を示す値ではありません。図は金利変化の原因や、今後も同じ関係が続くことまで示していません。
「5月に売って相場から離れよ」。 これは投資家が従う経験則として有効だったのでしょうか。 まったくそうではありません。 5月から10月のリターンも平均ではプラスで、年率換算で+7%。株価が上がった割合は73%です。 動画 https://www.youtube.com/watch?v=yJo3lWw66GI
図では、5~10月の平均リターンは11~4月を下回ります。しかし、プラスだった割合は両方とも72.7%です。上昇の大きさが違うことと、上がりやすさが違うことは、別の比較になります。 5~10月を保有しないルールなら、弱い季節の下落を回避する機会と同時に、その期間の上昇を逃す機会もあります。過去の季節性で売買を考える際は、平均リターンだけで結論を出さず、プラスの頻度と、株を持たない間の運用先や売買費用まで比べる視点が使えます。 図の5~10月の6か月リターンは3.5%、7.0%は年率換算です。この2つを混ぜず、1928~2026年の標本で観察された傾向として読みます。
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緑の棒はETFそのものを保有した場合の成績、白丸は投資家が実際に資金を入れたり出したりした時期と金額を反映する成績です。図のCONLでは、商品は上がっているのに、投資家の成績はマイナスになっています。Morningstarの推計では、商品は年率47.6%でも、投資された資金の成績は年率38%を超えるマイナスでした。対象は2025年末までの3年間です。 上がる前に持っていた金額が少なく、上がった後に大きな資金が入れば、その後の下落を多くの資金で受けます。商品の値動きが同じでも、資金を投じた時期と金額で投資家の損益は変わります。チャートの上昇を見て自分の利益を想像する際は、いつ買い増し、どこで手放したかも一緒に考えられます。 白丸は集計した資金フローからの推計で、全員の実績を個別に追った値ではありません。 参考資料 https://www.morningstar.com/business/insights/research/mind-the-gap
三菱商事の還元図では、2026年度の配当約4,500億円と自社株買い上限1兆円を合わせると、予想純利益1.2兆円を上回ります。総還元性向121%は、利益に対する還元の大きさを示す数値です。一方、別の表にある営業収益キャッシュフローの見通しは1兆3,800億円で、純利益とは異なる指標です。 還元が利益を超える場合には、その年の利益だけでなく、現金の創出、投資計画、既存の財務余力を一緒に読む必要があります。添付資料も、投資案件の選別と資金配分の見直しから今回の取得枠を決め、今後の追加配分では成長投資を重視すると説明しています。次に大きな自社株買いが出た際も、金額の大きさに加えて、何を原資とし、次の投資へどれだけ回すかを点検できます。 取得枠は実際の買付額ではなく、営業収益CFも投資支出後のFCFとは異なります。 参考資料 https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/meetings/pdf/261104/20261104j.pdf
伊藤忠の表では、純利益の増加802億円に対し、一過性損益を除いた基礎収益の増加は1,255億円です。一過性損益が減ったため、事業の稼ぐ力の伸びが純利益の増加率だけでは見えにくくなっています。 次の図では、基礎収益の増加を部門と四半期に分けています。機械と金属だけでなく、食料や情報・金融などにも増益が広がっています。同じ増益でも、一つの事業や一時的な利益に集中している場合と、複数部門で積み上がる場合では、次の期に確かめる材料が変わります。 決算を読むときは、最終利益から一時要因を分け、残った伸びがどの部門で生じたかまで追えます。基礎収益は会社独自の区分なので、他社と比べる際は同じ定義へそろえる必要があります。 参考資料 https://www.itochu.co.jp/ja/ir/financial_statements/2027/__icsFiles/afieldfile/2026/11/04/27_2nd_02.pdf
信用倍率は、ある時点の信用買い残を売り残で割った値です。図の43.07倍だけでは、その日にどれだけ新しく買われ、どれだけ既存の買いが返済されたかは見えません。売買分析では、新規買い約4,321万株に対し、返済売りも約4,151万株ありました。両方とも大きいため、差として残る買い残の増加は約170万株です。 残高の変化が比較的小さくても、その裏では大きな新規・返済が動いている場合があります。信用の需給を見る際は、倍率と残高に加え、その増減を作った新規建てと返済の内訳を確かめられます。 本人は保有者の入れ替わりを買いの機会と考える仮説を述べていますが、この図は当日推計です。同じ人の再売買や、返済した人の損益・取得単価までは分からず、将来の反発を示す根拠にはできません。
日本語訳
9月時点の3か月移動平均で見ると、求人数は1年前より増えていますが、春以降は横ばいです。 失業者として数えられる労働者1人に対し、求人は1.06件ありました。 9月は採用率と求人率が上昇し、解雇率は小幅に低下しました。
解説
求人数は企業が募集中の仕事の残高で、採用は実際に人を雇った動きです。最初の図は月ごとの振れを3か月平均でならすと、春から求人が増え続けているわけではないと示します。次の図では、失業者1人当たりの求人も2022年の約2件から約1件へ下がりました。求人の増減を、働き手側の人数と一緒に読めます。 3枚目では、募集が増えることと採用が増えることを別の系列で確認できます。株式市場が求人の増加を景気過熱や利上げの材料と受け止めたときも、平均で勢いが続いているか、実際の採用に結び付くか、解雇が増えていないかを点検すると、単月の数値だけからの判断を避けられます。求人率と採用率は分母が異なるため、両者の差を未充足求人の割合にはできません。 参考資料 https://www.bls.gov/news.release/jolts.htm